関野町は小金井市の五日市街道の北側に広がる町です。そんな場所で代々農家を営んできた高橋金一さんがいらっしゃいます。

農家にとって大事なのは農地の土壌。人の排出物も貴重な肥料になります。高橋さんのおじいさんの時代から肥料を身近に手に入るようにしたいという発想で貸家を続けてきました。古い家は昭和6年建造というから、小金井の歴史を見てきた家です。郊外の住宅開発が進んだ時期には大工さんや左官屋さんなど職人さんが多く住んでいたそうです。 

一旦住み始めると、大家の高橋さんの温かい人柄もあって長い間、住み続ける人が多いようです。また高橋さんとのご縁があって、貸家に住んだ大工さんや左官さんが別の場所で暮らすようになってからも、貸家の修理には駆け付けてくれるそうです。住み続けている人が多いのでなかなか建物を建て直すことタイミングがなかったことや、古い家でも丁寧にメンテナンスを続けてきたことが昔の家が残った理由のよう。

新しいものがどんどん生まれる時代から今はせっかく作ったものをしっかり使いこなしていく時代に。高橋さんの貸家に新しいタイプの職人さんが住み始めています。きっかけは小金井の昔話を高座スタイルで伝える物語屋の中川さんが古い貸家に手を入れ住み始めた三年前から。高橋さんがこれからの都市農業や都市の農地の役割を考えていたところに、 中川さんのような店子さんが入ってくれたので、新しい町をこのエリアで実現していく構想が膨らみました。

農業と新しい分野の職人さんが、互いに助け合いながら、暮らしていける町。着物の仕立て屋さん、パンの職人さん、美味しいお料理の職人さんといったに高橋さんと縁のある方が店子に入り、今年の春には関野横丁祭りという形で店子さんの仕事を紹介する場も設営されました。次は秋のお月見だそうです。

高橋さんは、時代の変化を見ながら、でもじっくり時間をかけて町を耕しています。

書いた人

鈴木幹雄

横浜の郊外育ち。鉄道会社勤務時代に仕事で三鷹から立川の地域に関わる。昨年会社を退職し三鷹から立川の地域で、つぎの活動を始めたところ。