国立駅北口から歩いて5分、3階建て住居の1階「くにきたべーす」はちょっと不思議な場所です。“みんなでシェアするひみつ基地”をコンセプトに、週に5日駄菓子屋を開店、マルシェなど様々な企画を行うほか、フリースペースとしてワークショップなどの場所貸しも行っています。2018年からは、子どもが遊ぶように学べる場として「ベースクール」をスタート。クラウドファンディングで資金を得てリノベーションし、この4月から本格的に始動します。お父さんが営んでいた建具店の店舗を活用し「くにきたべーす」として運営しているのは、佐藤和之さんこと通称“うぉーりー”。その立ち上げのいきさつや、これからのことなどを聞いてみました。

国立で育ち、地元の名門一橋大学を卒業後、地元を離れてネットベンチャーやネットコミュニティの会社で主に企画の仕事をしてきたうぉーりーさん。お父さん亡き後、ひとり暮らしだったお母さんを通いで介護していましたが、認知症の症状が進んだため実家近くに部屋を借り、国立に戻ってきます。結婚後しばらく会社勤めと介護を続けたのち実家に戻ることを決め、会社を退職。駅近の好立地にある実家の有効活用を考えた結果、「みんなが集まる楽しい場所をつくりたい」との思いに至ります。物置となっていた1階の元建具店のスペースを数ヶ月かけて片付け、2017年夏、「くにきたべーす」をオープンしました。

改装前の昨年10月ハロウィン仕様のくにきたべーす内観。手前は駄菓子屋。奥はフリースペース。昨年10月「つぎの→ムサシノ朝会議」会場に。

もともと「子どもにはモテていた」といううぉーりーさん。2017年末頃から駄菓子屋を始め、段階的に回数を増やし現在は週5日オープン※。平日は会社員として働く妻のなおさんとともに運営し、近所の子どもたちに定着してきました。駄菓子屋の店主として子どもたちとふれあう中で、子どもが大人と出会う機会や場所がない、ということに気づきます。「子どもとのゲームで勝ってはしゃいだら、“大人なのに変!”と言われて」。大人といってもいろいろな人がいるのに、身近な大人は親か先生しかいない、現代の子どもたちの生活環境に違和感を感じました。

※2019年4月までは改装工事のため不定期営業。日月休み

 

リノベーション中のくにきたべーす。4月のベースクール開校を目前に、子どもたちも参加して内装のペンキ塗りを行いました。

「学びの基礎を作り、かと言って真面目過ぎず世間にアカンベーをするような遊び心を大切にする」ベースクールの理念がこめられたロゴ。

そんなときにある会合の場で、「子どものための、答えのない塾を開きたい」という思いを持った幡野雄一さんと、明星大学教授でデザインディレクターの萩原修さんと3人で、ベースクールの元となる塾の構想で盛り上がりました。年齢はバラバラながら同じ地域で育ち、偶然にも出身幼稚園が同じというこの3人で、2018年5月、“遊ぶように学ぶ場”「ベースクール」を立ち上げ、「くにきたべーす」でプレ授業をスタート。2019年3月に内装工事を終えて4月から正式に開校する予定でただいま会員を募集中。3月21日には開校式が行われます。
※ベースクールについて詳しくはクラウドファンディングのページを参照

ご近所の「マゴメラボ」の店先に出店中の様子。「今日は3個で100万円だぞ」と顔なじみの子どもに声をかけるうぉーりーさん。

くにきたべーすの活動としては、通常の駄菓子屋営業のほか、ご近所の店先などに出張することも。山好きなので、高尾山など身近な山へのハイキングなども定期的に企画しています。「駄菓子屋はまったく儲からない」そうですが、くにきたべーすという場所で、次はどんなことをしようかと試行錯誤している様子は、肩の力が抜けていて何だか楽しそう。こんな大家さんがそれぞれの地域にいて、子どもたちやご近所さんが立ち寄れるような場所が増えたら、まちが楽しいだけでなく、地域の困りごとも解決できる場にもなるかもしれません。くにきたべーすがこれからどんな風に発展するのか、とても楽しみです。

くにきたべーすHP
https://kunikitabase.jimdo.com/

書いた人:安田桂子

子どもと触れ合う駄菓子屋は、地域の課題から社会問題まで、考えるきっかけを得られる場所だと感じました。うぉーりーさんはwebメディア「国立ハッピースポット」の連載シリーズ「国立北口探検隊」で、まちのスポットをユーモラスな筆致で紹介。おすすめです。