国分寺の「カフェスロー」を中心にスローツアーを立ち上げ、今年は「都会ではじめる農的暮らし/さとやま農学校@国分寺」といった企画を進めているのが、鈴木純さんです。

この企画は、相模湖で農園経営をしている須藤章さんに、月一回国分寺に来てもらって、都会で始められる植物栽培のレクチャーを受けながら、農的な暮らしを1年にわたって実践していくというものです。農業で生計を立てるわけではなく、マンションで暮らしていて土と触れ合えないという人や忙しくて手間暇かけられないという人にも「農的暮らし」を理解し、楽しんでもらうきっかけにしてほしいというコンセプトです。

その背景に純さんの自然への思いや街での暮らしがあるように思えて、お話を伺いました。

純さんは、小学5年生から家の隣も畑という自然に囲まれた小金井で育ちました。教職課程のある大学を受験しようと思って選んだ大学で、たまたま選んだ造園科でした。でも「自然の中で人間が心地よく過ごせるか」という学問は純さんにピタッとハマったようです。日本庭園を見るには日本の歴史を知らなければならないですし、樹木を見るのは木の勉強、また心地よいという人間の心理についても勉強が必要です。勉強すること自体が楽しかったと振り返ります。

大学を卒業して、青年海外協力隊で仕事をした後、バードウォッチングツアーなど自然観察ツアーが主力の旅行会社に勤めます。そこで国内の花を見るツアーの担当を7年勤めます。マニアックなツアーですからリピーターさんが多いので、毎年新しいツアーを企画しないといけません。そこでツアーのガイドをしてもらう大学の先生やツアーに参加するお客さまから、植物のこと、自然のことなど教えてもらったといいます。

マニアックな世界で仕事をする一方で、一般の人にも植物や自然と親しんでもらいたいという思いから、「おとなりや」という活動を始めます。これは、自分の家を住み開きして、ゲストに自然のお話をしてもらったり、道端の植物を観察するツアーを開催したりしました。勤めていた会社の経営体制が変わったこともあり、2017年で会社をやめて、フリーの植物ガイドをやる決断をします。

海外から戻ってから住んでいたのは自然と街との距離感が心地よい中央線沿線。自給自足を目指すヒッピーのような生活をしたいわけではなく、都会での人と人との出会いも大切にしたいという、都会と自然の二つにバランスよく軸足が置ける生活が理想のようです。「都会の生活の中で忘れられてしまいがちな、日々の暮らしの向こう側にある自然の道理や人の技を理解していきたい」と思っています。

そんな思いが「都会ではじめる農的暮らし」の企画につながっています。

これからも、いろいろと人の話を聞いてみたい、いろんなイベントにも顔を出したいという純さん。豊かな自然を知りながら、人と出会える都会を見限らない、そんな純さんのスタンスが生み出す企画に、これからも注目したいですね。

 

書いた人 鈴木幹雄

「つぎの→」で純さんが企画した関野吉晴さんのグレートジャーニーのイベント第一回を紹介しました。国分寺で世界のいろんな姿を知ることができるイベント自体が面白くて、第二回以降も通うことになりました。毎回イベントを企画している純さんの気持ちが会場に伝わり、こちらもワクワクしてきます。