幡野さんとは国立五天でお会いしたことがあるくらいでしたが、謎めいた風貌で気になっていた方でした。そんな幡野さんの活動がベースクールのクラウドファンディングで加速しています。ベースクールについて、幡野さんは「テーマを生徒が自由に決める学習」、「もっともっと自由に、こどもたちの好きなように学んでもらう」といった言葉で、実現したい学びのイメージを語っています。この「子供たちの主体的な学び」という考え方は、新しい学習指導要領で重視されている「主体的・対話的で深い学び」と相通じている印象です。どうやって「子供たちの主体的な学び」という考え方にたどり着いたのかなと興味を持ちました。幡野さんの経験がそれをもたらしたのでしょうか、今までの経歴を改めて伺いました。

「自分の考えを他人に伝えることが大事だ」と家庭では教えられていたそうですが、学校で自分の考えを主張すると叩かれたり、スルーされたりで、学校のことは好きになれなかったそうです。与えられた勉強はしなかったとのことですが、自分で考えることは好きだったと言います。高校を卒業した時には、どうせ勉強をしないから大学に行っても意味がないと考え、ジャズバーのカウンターに立つ仕事に。大人と話をする機会ができて面白かったようですが、2年半でケンカして仕事を辞めてしまいます。

それからお金なしで生活するホームレス生活を味わったり、仏教関係に興味があったこともあって四国をお遍路で回ってみたり。仕事を覚えようとして職人に弟子入りしてみたりしますが、それも長続きしませんでした。色々なことを経験してきて、改めて自分のやりたいことは考えることと気づき、23歳で仏教を通じて考えることを続けようと大学に入学します。大学での4年間は本当に面白かったと言います。

幡野さんのちょっと変わった経験を精神的に支えてくれていたのが「本当にやりたいことなら応援する」という家庭の姿勢だったようです。子供には安心安全な場所を与えて後は子供が考えて気づくのを待つというスタンスでいてくれたことが、自分の成長につながったと振り返ります。

大学時代に偶然見た映画「ちいさな哲学者たち」に刺激を受け、卒業論文で取り上げたのが、「こどものてつがく」。大学卒業後は、「こどもてつがく」を形にすることを仕事にしていきます。

幡野さんの通った学校では、子供には自分の考えをまとめて、それを他者に伝えるなんて能力はないということを前提にして教育が進められてきました。でも「ちいさな哲学者たち」では、3~5歳の未就学児が、生や死、自由、愛を語っています。子供に考える力がないという思い込みが間違っているのであって、子供は考える力を本来的に持っていると考えています。

子供の考える力を十分に発揮させるためには、安全に学べる空間だけではなく、心からリラックスできる環境を与えることが重要、それだからベースクールは大事なんだと幡野さんは強調します。ベースクールがきっかけとなって、街全体が安心安全な場になって誰もが生きやすい世界を実現していくことを幡野さんは願っています。

 

書いた人 鈴木幹雄

自分が周囲の環境によって自由に発想できなくなっていると感じる時があります。そんな時に幡野さんの自由な発想が新鮮でした。自由に発想できる環境をどう整えるかということは、子供だけでなく大人にとっても大事なのかもしれません。