今の世の中の「当たり前」ではなく、新しい選択肢をつくっていく。舟木公一郎さんは、自分でしかできないことをやっていく発想で取り組んでいます。その思いが詰まっているのが、三鷹駅から北へ1.5kmのグリーンパーク商店街にある「MIDOLINO_」、食の仕事をやりたい人の創業を支援する施設(シェアキッチン)です。

舟木さんは、大学在学中から音楽プロデューサーの道を目指し、卒業後も音楽スタジオで一流ミュージシャンを支える仕事に就きます。そこで一流ミュージシャンが自分の求める音のために自分を追い詰める姿を間近に見たことが、物事を詰めていく仕事のやり方に繋がりました。

音楽の最前線での仕事に充実感を感じた一方、音楽が使い捨てになっている姿も見えてしまいました。そこで誰にとっても大事な子どものための仕事をやろうと方向転換して、保育園での仕事に就きます。保育園では、子どもの募集ツールのデザインから、木のぬくもりのある内装をめざした大工仕事まで、仕事の幅が広がったといいます。「頼まれたら断りません」という方針はその頃から。やったことがないことは勉強する、勉強も半端なく相手が喜んでくれるレベルまで突き詰める、そうすればそれが仕事になっていく、そんなナリワイづくりを実践していきます。

食との関わりは、吉祥寺の「タイヒバン」というお店の経営に携わるようになってから。食は、誰もが関わることだから、多様な人とつながっていく魅力を感じました。住んでいる所の近くで地域の関係性を築いていければ、みんなが気持ちよく暮らせるようになるという思いが強くなります。

そして2017年3月に仕事づくりの拠点として「MIDOLINO_」を開業。投資額を抑えるため、大工仕事もできる舟木さんは、内装工事も自分でやってしまいました。いろんな業態のナリワイづくりを突き詰めて、飲食店営業だけでなく、菓子、そうざい、ソース類、粉末食品の製造許可を取得したシェアキッチンにしました。

開業してから一年半しか経っていませんが、仕事づくりも形になり始めています。「MIDOLINO_」で半年間シェアしてレストランをやってきた人が、今年の9月にお隣の空き店舗を借りてスイス料理のお店「Le Pre」を始めました。

一緒に汗をかく仲間が「MIDOLINO_」で培われてきたことも嬉しい話です。イベントに提供する食材の仕込みで徹夜の作業を手伝ってくれる仲間が生まれました。覚悟がない人がいると場が崩れやすいから、今は本気でやる気のある人が集まるようにしていきたいといいます。

「MIDOLINO_」開業までは、グリーンパーク商店街とは縁がなかった舟木さん。今では歩くと、街の人から声をかけられる存在に。みんなが気持ちよく暮らせるまちづくりが少しづつ進んでいます。

 

書いた人 鈴木幹雄

舟木さんがMIDOLINO_の設備を自分で作ったと聞いて、面白い人だなと思い、お話するようになりました。自分も新しい選択肢を作りたいという思いで会社を辞める決断をしました。会社を辞めてからは、自分でできることの幅を広げるという課題に向かいあっています。