国立駅南口から立川方面に300メートルほど歩いたところに国立本店があります。本店とは言っても本屋ではなく、本を介したコミュニティスペース。本の編集やデザインに関心ある人が「ほんとまち編集室」として運営しています。国立本店の本棚にはそんな編集室のメンバーのオススメの本が並んでいます。通りがかった人が、ぶらりと入って本を手に取ってみることから、会話が始まることも。

いろいろな経歴のメンバーが編集室に毎年入れ替わり入ってくる国立本店。そこを取りまとめているのが室長の加藤健介さん。

加藤さんは大学、大学院では建築を勉強していたそう。卒業して2010年に入ったのが都市計画のコンサルタントの会社(石塚計画デサイン事務所)でした。この事務所が、従来型の計画策定よりも住民参加型のまちづくりの計画策定に力を入れていたことから、ワークショップ運営支援に従事する日々を送っていたそう。そこでファシリテーターとして、様々な意見をまとめていく経験を積めたことが役立っていると言います。

加藤さんが国立の街と関わるようになったきっかけは本当に偶然。「事務所の上司の知り合いが国立本店の活動に参加していて、イベントに誘われたのが国立の駅まで来た最初だった」といいます。2013年のその時はイベントに参加しただけで大学通りも歩きませんでした。

でも会社で携わるまちづくりでは、どうしても街に対して一線を引くところがあると感じていた加藤さんにとって、自分自身のこととしてまちに関われるチャンスと感じられたようです。徐々に「ほんとまち編集室」に関わるようになってきます。住まいも国立近辺に移しました。

2015年まで国立市内に残っていた昭和初期の建物旧高田邸、持ち主であった高田義一郎を知ってもらう活動に携わったことで、街の人とのつながりを実感できるようになってきたとおっしゃいます。人とのつながりが生まれてくると、人と人との間で新しいビジネスが生まれてくるのではないか、そんな思いが芽生えてきます。

個人で動くことと組織で動くことを使い分けられるように、今年、今までの事務所から独立した加藤さん。

今、加藤さんの姿は、国立本店以外でも見かけることがあります。例えば国立市が今力を入れている富士見台地区のまちづくりのワークショップでも加藤さんは活躍しています。まちづくりだけでなく、国立市内の芸術文化や創業支援の分野でも街の人たちと会話しています。

加藤さんの国立の街との関わりは、本当に偶然から始まっています。偶然の中から生まれた出会いを大切にして、人とのつながりから生まれるコトを大事に育てていく。加藤さんのそんな姿勢が、国立の街に新しい面白いコトを生み出してくれているのだろうと思います。

 

書いた人 鈴木幹雄

横浜の郊外育ち。鉄道会社勤務時代に仕事で三鷹から立川の地域に関わる。昨年会社を退職し三鷹から立川の地域を面白くしたいと思って、「つぎの→」を始めた。