三鷹の街でやっている野菜の直売。三鷹南口の大通りでやっているお祭り。そういった所で元気に活動しているのが苔口さんです。

普段はサラリーマンなので、活動は土日に限られてしまうようですが、いつも笑顔で何かを仕掛けたいというエネルギーに満ちています。そんな苔口さんのバイタリティの源を知りたくてお話を伺いました。

苔口さんの学生時代ってどんな感じだったんですか?ーーそこから話は始まりました。

学生時代は「大人になりたくなかった」と言います。

中学卒業の頃「決まっているレールに乗りたくなかった」そう。学校に通うことって意味があるのかなと考え、高校に行くかどうかも最後まで迷ったようですが、通った高校も1年で辞めてしまいました。

時代はWindows95がでた1995年頃。もともと家庭にパソコンがあり中学時代からパソコンには親しんでいたようです。高校を辞めた苔口さんは、住んでいた三鷹近辺の友人とホームページの制作などを請け負ったり、パチスロの情報をインターネットにアップしたりしていました。

19歳の頃に大検をとって大学に入学し、卒業しますが、大学にはあまり通わなかったと言います。大学生とは告げずに、WEB制作の会社に入って仕事を熱中してやっていたそうです。企業での仕事の進め方などの基本はこの頃学んだといいます。

WEB制作の仕事は事業の枠組みができてからの出番になるので、もっと事業の生まれるところに携わりたいということで、現在の大手IT系の会社に中途入社します。会社での仕事は、社内外にいる金融の専門家がWEBを使った企画展開をしたいと言うと、苔口さんがそのシステム周りを一手に担当するという役割分担。そのうち会社が提供するWEBサービスをプロジェクトとして育てるプロデューサー的な役割を担うようになります。WEBメディアを立ち上げて自ら編集長をやったり、地域の観光アプリを開発したり。そんなチームで事業を立ち 上げる経験を積んできました。

仕事でプロジェクトを動かすようになってくると、今度は自分が学生時代から遊んできた地元の三鷹でも何かできないかと考えるようになった苔口さん。そんな思いでネットで検索していたら堀池喜一郎さんの情報に出会います。堀池さんはシニアながら、コンピュータの最新動向にも詳しく、当時はパソコン教室を運営していました。苔口さんは堀池さんと意気投合し、堀池さんの活動を手伝いながら地域活動を始めます。仕事はインターネット関連なので、人との繋がりもどうしてもネット越しになってしまいますが、三鷹で活動するとリアルな世界で繋がります。それが面白いと感じました。

地域で困っていることを、自分の持っているインターネットの技術で解決できないか、そういう議論を仲間とする中で、出会ったのが三鷹市の市民協働センターで開催された「市民×IT」のイベント。様々な分野で活動する市民に悩みを発表してもらい、ITエンジニアが解決していくというイベントでした。

子育てや防災といった課題も興味深かったのですが、たどり着いたのが農業。イベントに参加している農家の人たちと話をすると自分が知らない世界があって引き込まれたと言います。三鷹の農業は江戸時代の新田開発から300年の歴史を持っています。農家の発想も昔ながらのムラの発想。それが新鮮だったのかもしれません。農家を取り巻く環境を勉強していくうちに、三鷹の農業を守っていくためには三鷹の農業を多くの人に知ってもらうことが大事だけど、情報発信が十分できていないと気づきます。

そうして始まったのが「まちなか農家プロジェクト」。農家の紹介をしながら、月に1回農家の野菜を市民に届ける活動をしています。自分自身で三鷹で何か新しいことを始めたとしてもこれから歴史を刻むしかありません。300年続いた農業の歴史を越えることはできないのだから、むしろ歴史ある農業をこれからも続けるために活動していこうと考えました。

苔口さんには、組織に属しているという感じがしません。若い時から自分自身で道を開いてきて、自分自身の力を信じて、プロジェクト全体をいろいろ考えるのが好きなようです。会社での仕事もそんな苔口さんの活動の一つ。自分の時間を割いているわけですが、規模の大きな仕事ができるから選んでいるという感じ。それと合わせて地域で出会った「まちなか農家プロジェクト」。これも苔口さんにとっては地域で大事なことだから選んだこと。

今、苔口さんは自分の時間をどう使うのがいいのか、もう一度考え直していると言います。これからどういう選択をされるのか楽しみです。

 

書いた人 鈴木幹雄

「自分は普通」と苔口さんはおっしゃいます。苔口さんは世の中をフラットに「普通に」見ていて、余計な先入観がありません。プロジェクトをどう仕掛けていくのがいいのか考えて実行していくことを楽しんでいます。楽しむ姿勢がバイタリティーにつながっているようです。