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国分寺のコーヒー事情〈ジョルジュ サンク〉

大学に入学して住んだ家は大学のすぐそばだった。鷹の台駅まで歩けば西武国分寺線で国分寺駅にも出られるのだが、田舎から出てきた自分にとって、駅のまわりの交通事情は分からないし満員電車に乗るのも怖いのであまり利用していなかった。いつも国分寺へは、大学の目の前にある西武バスのバス停からバスに乗って買い物や学校帰りの友達とご飯を食べに行ったりしていた。

国分寺駅の北口にある西武バスの乗り場で降りると、すぐ目の前にジョルジュ サンク(GEORGE Ⅴ)というカフェがある。通りから中を覗くと店内は薄暗く、あまり様子が分からない。僕にとってジョルジュサンクは存在こそ知っているけど中には入れない店だった。

ある時、ジョルジュサンクに通っているという友人から話を聞いた。「コーヒーとケーキがセットで1000円ポッキリ」その時、僕はそれが安いのかどうなのか分からなかったが、その友人と一度ジョルジュサンクに行ってみることになった。思ったよりも広い店内にはポツポツと席が配置されていて真ん中には5人くらい座れる円卓がある。カウンター席には常連さんが座ってマスターと話していることがある。僕たちは壁側の雑誌が積んであるあたりに座ったと思う。

ジョルジュサンクには日替わりのケーキが数種類と紅茶、コーヒーはブレンドが二種類ある。定番の「ジョルジュブレンド」と、魔のカフェと書かれた「ゴールドブレンド」。価格は変わらないが名前に惹かれて魔のカフェとケーキを頼んだ。ケーキは注文ごとにショーケースに入ったホールケーキを切り分けてくれる。ジョルジュサンクのコーヒーはとても熱い。そして、苦い。香りもなんだが独特だ。ケーキを食べた後にコーヒーをちょっと口に含むと大人な味がした。だいぶ後で、ここのコーヒーは数年間熟成させた生豆を使ったエイジングコーヒーだと知るのだが、この時は苦くて不思議な味のコーヒーだなーと思うくらいだった。

ジョルジュサンクには、様々な人が集っているように思う。昔から通っている近所の常連さん、バスを待っている武蔵美の学生に、何人かのご婦人たち、会社員、それぞれが思い思いの時間を過ごす。コーヒーを楽しむ、一人で考え事をする、家に帰る前の一息、少しだけ仕事、本を読む、誰かと話をするために、、、

ジョルジュサンクに集う様々な人を見ながらコーヒーとケーキを楽しむうちに、気づけば僕もその人たちの様に日々の様々な場面で立ち寄るようになっていた。今では僕にとってジョルジュサンクは国分寺で一番ちょうど良いお店になっている。

 

GEORGE Ⅴ(ジョルジュ サンク)

営業時間:12~22時(火曜定休)

住所:東京都国分寺市本町3-4-5

 

書いた人 藤田 一輝 コーヒィネーター

香川県丸亀市出身。国立駅の南口在住。走る小屋とテーブル ポイトラ共同代表。大学進学を機に上京し東京の西側に住む。コーヒーで地域や人と人との繋がりをコーヒーでコーディネートする。その他、出張コーヒー、講座・ワークショップ・の企画を行っている。

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