「発酵家族」という屋号で、発酵のよさを伝えることをベースに活動している料理研究家・青木光左代さんは小平在住。中学生・小学生・保育園児の母としても忙しい毎日を送っています。ふと空いた時間に、近場で楽しめることはないかと思いついたのが、野菜の直売所めぐりでした。小平市観光農業協会制作の「こだいら直売所ガイドブック」(→2019年7月現在、小平市のホームページでPDFを公開しています)によると、小平には果樹園や野菜・園芸農園の直売所が52か所。ある日、そのうちの28か所を自転車で散策してきたという青木さんの話を聞き、今回、ママチャリでご一緒させていただきました。
梅雨曇りの朝9時前、待ち合わせ場所に選んだ西武多摩湖線・青梅街道駅前の「ムーちゃん広場」は、開店を待つ人たちでにぎわっていました。「ここは朝イチに行くのがポイント。午後とは品数が違います」と青木さん。野菜のほか、花や植木も充実していて生きがいいのだとか。
ガイドブックを見ながら作戦会議。今回は小平の東側を攻めることにしました。普段は車で通ることが多い道を自転車で走ると、いろいろなものが目に入ります。マップには載っていない直売所や、コインロッカータイプの野菜の自販機「朝市くん」もちらほら。
「いくつかまわると、直売所にもカラーがあるのがわかる」と青木さんが言う通りで、人気のお店にはひっきりなしにお客さんが並ぶ一方、入るのにはちょっと勇気がいる雰囲気のお店もあります。
まずは初心者でも買いやすい、イチオシのお店に案内してもらいました。豊富なラインナップで、スイスチャード(サラダでおなじみ、赤や黄色など茎がカラフルな葉野菜)、コリンキー(生食もできるかぼちゃの一種)などちょっと珍しい野菜も発見。ついつい私も衝動買い……。
さらに東へ進むと「もも200円」の文字。小平の農家で桃!?と目を疑い、一度は通り過ぎつつ気になって戻ると、若い女性がにこやかに迎えてくれました。お買い得の桃は、少しぶつけてしまうなどして、売り物にならないものだとか。「少し色づくまで常温に出しておいてくださいね」とのアドバイス通り、少し我慢して翌々日に冷やして食べたら、めちゃうまでした!
小平名産のフルーツといえば、ブルーベリーもそろそろ食べごろ。花小金井の鈴木街道沿いには、小平の、いや日本のブルーベリー栽培発祥の地があります。
ブルーベリーは冷凍もできるので、おいしい旬の時期に心置きなく大人買いできます。農家の方によるとブルーベリーにも品種があるそうで、6月下旬はやや粒が小さめのハイブッシュ系が盛り、7月後半ごろから出回るのはラビットアイ系なのだそう。
最後は、乾いた喉をうるおすべく、喫茶室を併設している観光農園を目指しました。花も多く扱っていて、なんだかメルヘンチックな雰囲気。人気のとうもろこしはラスト5本という時間でした。ギリギリセーフ。
ちょっとばかり形が不格好でも、スーパーなどに比べると安くて新鮮で、味も香りもいい野菜が手に入る直売所。農家の方に会えると、野菜やくだものの情報を聞けるのも醍醐味です。ラインナップは日々変わるので「ちょくちょく行こう、直売所!(笑)」と青木さん。
実際にママチャリでまわってみると、地図にないところにも野菜が並んでいたり、直売所以外にも気になるお店を発見したり……街歩きのような楽しみもありました。
また、販路には乗せにくい野菜をおいしく食べきることは、フードロス対策にもつながります。
暮らしの中のフードロスを見直すために発酵ができることは何か——そんなことも考えるようになったと青木さんは言います。
「つけものにしてもそうですが、発酵の力を使えば、食品を長持ちさせ、無駄なくおいしく食べきることができるんです」
——発酵の力で野菜をもっとおいしく、無駄なく食べる方法、知りたい!!!
ということで、今度は青木さんの専門領域“発酵”の話をじっくりうかがいたいと思います。(たぶん、つづく→)
書いた人:高丸昌子
ちなみに、今回の取材で私個人が購入したのは、にんじん、なす、きゅうり、スイスチャード、トマト、じゃがいも(アンデス)、ピーマン、桃、プチトマト、とうもろこし、ズッキーニ。これだけ買って1540円也。どれもこれも新鮮でおいしいかったのは言うまでもありません。普段、これより高くておいしくないものをスーパーで買っていることが、なんだかバカバカしくなりました。